印刷

DM発送からフォローコールまでをトータルで請け負う アウトバウンドコールセンターで発信規制機能を活用

プロモーション活動において欠かせない、ダイレクトメール(DM)。我々も、時に販促活動の一環として、DMを発送することがあります。しかし、自社で大量のDMを送っても、人的リソース不足や経験不足から、送りっぱなしになってしまうことが多いのではないでしょうか。

株式会社 アテナ様は、昭和43年設立、DM発送のアウトソーシング業として起業しました。大量のDM発送に現在ではすっかり定着している「メール便」は、同社と大手運送会社との協力のもとで誕生したサービスだそうです。

そんな、DM発送においてのリーディングカンパニーである同社は、お客様に届くDMの発送元名から徐々にお客様にその名を浸透させていきました。
そして、お客様の要望を受け、DM発送後のフォローコールまでを請け負うようになりました。また、販促活動やキャンペーンの支援のみならず、3PL(サードパーティロジスティック)と呼ばれる物流支援や人材派遣、コールセンターの請負など、多岐に渡ったビジネス展開をされており、クライアント企業に最適なソリューションをトータルでご提供されています。

関西圏には、拠点となる大阪支店と物流センターのほかに、DM発送を行うメールセンターと、コールセンターがあります。もともと、物流センターに併設されていた10席のコールセンターは、依頼が増加してきたことを受け、2005年8月、大阪市内に50席のコールセンターを新設されました。

システム導入のきっかけ

クライアントは、大手通信メーカーから保険会社、通販業者など様々。DMを発送した後のフォローコール(アウトバウンド業務)や資料請求の受付窓口(インバウンド業務)など、依頼内容もクライアントによって異なります。

ただし、共通点がひとつあります。それは、「データ納品」という形式。情報セキュリティに厳しくなった昨今、紙ベースのデータの受け渡しではなく、リストデータを預かり、フォロー結果を追加したデータをクライアントに返却するというスタイルが定着しています。

「当社は、他社に比べて早い時期からパソコンによるデータ管理をしていました。しかし、アクセスベースのシステムでは、処理件数やクライアントからの個々の要望を叶えるための管理項目の自由度に限界を感じていました。そこで、汎用性のあるパッケージソフトであるBIG顧客管理Pro CTIの導入に至りました。」と、課長の森様。

コールセンター業務

コールセンターでは、アウトバウンド系の依頼がメインとなっています。仕事の内容やボリュームによって配置されるオペレータは、まずトレーニングセンターにてサービス内容や取扱商品についてのOJTを受けます。

「例えば、通信系のインフラサービスについてのアウトバウンドの場合、難しい言葉を使ったり、ありきたりの説明ではお客様にはなかなか伝わりません。そんな時は、パソコンを使いこなすメリットに焦点を絞れば伝わりやすくなります。そうやってオペレータには専門用語を使わずに、やさしくわかりやすいトークを心がけるようにしています。」と同社は語ります。また、クライアント企業名を名乗るため、その企業イメージを損なうような対応や言葉遣いのないよう、オペレータは十分な教育を受けられているようです。

OJTが終わると、実際のコール業務に移ります。十分なOJTを受けたプロのオペレータなので心配はないと思いがちですが、それでもはじめのうちは SV(スーパーバイザー)が会話をモニタリングし、問題がないかチェックするそうです。こういった厳重な管理下でのコールセンター運用が、クライアントの信頼を得る所以なのでしょう。

アウトバウンド業務は、委託されたリストをBIG顧客管理Pro CTIにインポートし、オペレータが順番にコールします。コール結果は、なるべく入力による個人のばらつきがないようにプルダウン式のリストから選択するようにしています。

1日のコール終了時に、SVがコール件数、受注件数などの結果を集計します。

このような日常業務を繰り返し、最終的には結果を外部データにエクスポートし、元データは削除、エクスポートした外部データを暗号化した上でお客様に納品して完了、という手順になるそうです。

2データによる納品は、クライアント側での加工もしやすく、履歴として残すという上で役立っているようです。

システム導入効果

2005年4月に施行された個人情報保護法に伴い、セキュリティ強化はもとより、同法律に含まれる「発信規制」というものが注目されています。

電話によるセールスを行う場合、お客様の要望に応じて、再コールを停止しなければならなくなりました。万が一、同じお客様に再度連絡をしてしまうと、クレームになってしまう場合があり、ひいては企業イメージダウンとなる可能性があります。

BIG顧客管理Proでは、お客様からの申し出があった場合に、この発信規制項目にチェックを入れれば、次回からリストから除外されるようになっています。

この発信規制情報はクライアント内・同グループ企業内にも徹底されているそうです。簡単そうに見えてなかなか実践できないこのような横のつながりは、社内の円滑なコミュニケーションやお客様への対応の良さを伺い知ることができ、企業イメージアップにもつながります。

その他のメリットとして、画面項目設計の自由度を挙げられています。通常は、ほぼ統一されたフォーマットの顧客画面を使用しますが、クライアントから独自の項目管理を指定された場合、その都度アテナ様内部で画面設計をされているそうです。アクセスベースでは難しかった管理項目の追加も、BIG顧客管理 Proにより解消されました。

今後の展望

クライアントからの大切なデータを預かる同社は、プライバシーマークの取得はもちろん、現在は情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の取得にも取り組まれています。また、お話を伺った森課長は、個人的に情報セキュリティ検定を受検されたりと、社員一人ひとりが意識付けを心がけ、個人情報の取り扱いにとても気を使われていました。

「最近では、以前に増してクライアントからセキュリティ強化を強く要望されます。セキュリティ強化は、当社のような業務をしていると当たり前のことですが、実践にはそれなりのスキルを要します。このような資格を通じて、情報漏えいに関するリスクを知ることができました。」と、森課長は語ります。管理者としての責務に、とても真摯に向き合われている印象を受けました。

今後は、様々な資格習得によって蓄積されたノウハウを生かしたセキュリティの維持と、オペレータのスキルアップを目指したいとのことです。

DM発送や、コールセンターを個々に請け負う競合他社は多く存在しますが、その両方、プラスアルファをトータルで請け負えることを強みとする同社は、今後も東京本社と共同で新しいビジネスモデルを展開し続けてゆかれることでしょう。