印刷

受注センターの集中化で商品と情報の安定供給を目指す

「健康社会への貢献」を社会理念とするアステムヘルスケア様は、全国のドラッグストアや一般薬局などに一般医薬品や健康食品などのヘルスケア商品を卸売りという業態で供給されています。

得意先は、大手ドラッグストアから、離島の小さな薬局まで実に様々。健康を願い、商品を待って頂いているお客様へのためにも、小ロットから大ロットまでの受注処理や、遠方にも短期間で確実に納品するといった、きめ細やかな対応を要します。

また、商品の安定供給とともに同社の重要な課題として、「情報提供」についても挙げられています。商品の入れ替わりの激しい医薬品の情報を、均等に、かつタイムリーにお客様に提供し続けなければなりません。このようなミッションを達成するためには、受注からお問い合わせまでをトータルで対応できる総合コールセンターの構築が必要だったのです。

受注センターの集中化

受注センターを立ち上げたのは今から5年前。独自のシステムを構築し、当時は、庄内・熊本・大分3ヶ所に受注センターを設け、それぞれで運営していました。しかし、複数の受注センター運営には、オペレータの対応や業務運用のばらつき、通信費や人件費といったコストの問題、顧客情報が一元管理できないといった様々な問題が発生してきました。

そこで、2006年4月、新たにCSソリューション部を設立。これらの問題を解消すべく、コールセンターの一元化が出来るシステムの選定を開始しました。

数あるコールセンターシステムの中で、自社が求める形にフィットするのはどんなシステムか、CSソリューション部 部長の中谷様をはじめ、システム管理をされているシステム課の高橋様らが中心となり、様々なセミナーやフェアに積極的に参加され、検討されたそうです。

特に、コールセンターの構築には、実際に導入された企業からの意見が有効と考えられた同社では、電話交換機メーカー様と共に当社のお客様である同規模のコールセンターを視察。システム構築によって得られたメリットやコールセンターのノウハウなどを視察先のセンター長から熱心に伝授され、「非常に感銘を受けた。」と、中谷様は語ります。そして、 BIG顧客管理Pro CTIによる受注センターの一元化を実現されたのです。

コールセンター導入における課題の達成

受注業務を行うコールセンターセンターでは、17名のコミュニケーターが得意先からの受注や問い合わせに応対されています。

1日の受電件数は約600本。内容は、受注をはじめ、在庫や価格などの問い合わせがメインです。FAXによる受注が8割となっていますが、電話による受注の場合は、基幹の販売管理システムでそのまま受注処理に移ります。

「大手薬局やドラッグストアはチェーン店が多く、同じような名前で電話がかかってくると、名前の確認だけでも相当な時間がかかっていました。しかし、 CTI導入によりお客様の情報が文字として見えるので、コミュニケーターは自信を持って電話に出ることが出来るようになりました。」と、中谷様。CTIの基本機能である“お客様情報の画面表示”で聞き取りミスが減少。これにより、これまで行っていた折り返し電話による確認作業は不要となり、業務効率が上がったとご評価頂きました。

コミュニケーターは、数万点に及ぶ商品の中から該当商品を検索する能力を身につけており、商品の検索にはさほど時間を要しません。CTI導入により、お客様情報確認の時間が短縮できたため、通話時間は平均1分20秒を実現されました。

コールセンター設立の第一の目標だった受注業務の迅速化は、すでに達成されたようです。

分析ツールの活用

コールセンター運営の中で重要な役割を担うのが通話録音。アステムヘルスケア様でも、この機能を導入されました。お客様とコミュニケーターの会話をスーパーバイザーが分析することにより、コミュニケーターの教育に役立たり、お客様の生の声を聞くことも可能です。
「現在は、具体的にどのように役立てるか検討中の段階ですが、今後この録音データは、サービスの均一化やCS向上の大きな財産となる。」とお考えのようです。

他にも、通話ログは通話時間やコミュニケーターの受電本数などを把握することが出来るので、こちらもコミュニケーターごとの対応のばらつきなどを把握する指針となっているようです。

新たな課題と展望

業務部 システム課 主任 高橋様

「受注センター設立当初は、受注業務を迅速化させること、センターの一元化によるコストの削減という目標が筆頭にあり、顧客満足度の向上である“CS”については次のステップで、と考えていた。」と中谷様は振り返ります。そして、実際に目標を達成された現在、次なる課題である“CS”について取り組む時期にある、とお考えのようです。

以前は、こまめに営業担当者が実際にお客様先に訪問して新商品のご案内をしたり、注文を頂いたりとお客様との距離が近かった、と中谷様。しかし、オンラインやEDI、電話による注文が主流となった現在、受注センターのコミュニケーターが営業としての役割を担うことになりそうです。

CSソリューション部 部長 中谷様

「日本の商社的卸の昨今の流れは、効率を考えた量販への流通だけを重んじて、非効率となる中小、零細への小ロットの卸は排除する傾向にあると感じています。効率的なビジネスという点ではそれが正解なのかもしれません。

しかしながら、当社のお客様には、離島でがんばっている小さな薬局や商店、その先で健康を願って当社の商品や情報を待っているお客様がいらっしゃるわけです。情報伝達が遅れがちなそのようなお客様にこそ、商品と情報の安定供給をしていくことが日本の卸としての、当社の使命だと考えます。」と、中谷様。

そのような理念を基に設立されたCSソリューション部では、今後、お客様からのお問い合わせに応えるインバウンドだけではなく、アウトバウンド機能を駆使し、積極的な情報提供でお客様との関係をより強固なものにしていきたい、と展望を語って頂きました。