印刷

高齢者の安全を支える「緊急通報システム」のコールセンターにBIG顧客管理Neo CTIを採用

少子高齢化が進み、一人暮らしの高齢者や高齢夫婦のみの世帯が増え続ける昨今、親族だけでなく近隣の協力者や行政がネットワークを構築して皆で見守ろうという活動が地域ごとに根付きつつあります。

全国各地で実施されている緊急通報システムは、独居高齢者や体の不自由な方々が安心して自立した生活が送れるよう、専用端末を使用してサービス利用者の自宅と「あんしんセンター」を電話線でつなぎ、24時間365日見守るという制度です。

この事業は、地域における緊急通報体制の整備を図ることを目的としています。

緊急通報システム制度の確立や実施は各自治体に一任されており、沖縄県では介護および福祉全般業務を展開する株式会社 シルバーサービス沖縄様が行政より委託を請け、平成3年より県内で唯一サービスをご提供されています。

「緊急通報システムは、在宅の高齢者や体の不自由な方を親族だけでなく地域全体で見守ろう、というコンセプトのシステムです。

協力者は、地域の民生委員、居宅介護支援事業所に所属している介護支援専門員(ケアマネジャー)や病院の相談室のケースワーカーなど、多くの方々に様々な形で関わってもらい、独自のネットワークを構築しています。」管理部 部長の 仲本様は語ります。

緊急通報サービス

システムの概要は次の通り。

利用者宅には固定IDがふられた専用端末を設置し、電話線と接続します。

専用端末のほか、ペンダント型で身に着けられる受信機の緊急ボタンを押すことで自動的にシルバーサービス沖縄様の「あんしんセンター」につながるしくみです。

専用端末にはマイクとスピーカーが内蔵されており、室内であれば50m離れていても通話可能で、万が一、通話の出来ない状態であっても、固定IDより着信元がわかるようになっています。

 

緊急通報や相談通報を受けたあんしんセンターのオペレータは緊急度を判断し、状況に応じて協力者へ安否確認を要請します。緊急だった場合は、通常の119番通報ではなく、消防署の専用ホットラインに電話をすることで即座に救急車が出動するそうです。

協力者は、20~30分ですぐに駆けつけられる近隣に居住する民生員や自治会の協力員をはじめ、地元企業との協力関係も確立されています。

 

総務 富村様

「最近では近所づきあいが昔より稀薄になってきているのも事実です。

また、民生員自体の高齢化も進み、夜中に様子を見に行ったり、ベッドから落ちて自分では立ち上がれない方を援助するといった力仕事をしたりするのは素人では難しい場合もあります。

そのような場合でも、沖縄総合警備保障株式会社を最終ラインとし、確実にサポートできる体制を整えています。」と総務の富村様。

そして、協力者から状況確認の結果をあんしんセンターにフィードバックしてもらい、その内容を最終的に役場に報告する、という流れです。

現在、緊急通報システムの加入者は沖縄県内で実施されている19市区町村から委託を受けています。

利用者は個人だけでなく、自立支援施設や介護施設、高齢者向けの市営住宅等とも契約し、営業時間外となる夜間の緊急受付を請け負われているそうです。

シルバーサービス沖縄様では、緊急時の対応だけでなく、利用者の日常生活を見守るという意味で定期訪問や定期コール等のサービスにも力を入れられています。

「利用者ひとりひとりに専属の担当者をつけ、担当者が身内感覚で定期的に電話をしています。内容は、健康状況や現在困っていることなど多岐に渡ります。 ずっと同じ担当者にすることで信頼関係が生まれ、利用者様には安心感を与えられているのではないでしょうか。」(富村様)

ほかにも、沖縄ならではの台風時に、一斉に警告コールをしたりといった地域特性も加味したサービスが人気を呼んでいるようです。

専用システムからパッケージソフトへの入れ替えでランニングコストを削減

現在、シルバーサービス沖縄様のあんしんセンターでは、電話受付システムにBIG顧客管理Neo CTIをご利用いただいています。

BIG顧客管理Neo CTI導入の経緯について、次のように語ります。

「以前は利用者に配布している専用端末と連携する専用のシステムを導入していたのですが、プリンタや電話機などのハードとシステムがフルセットになっていて、かなり高価なものでした。

そして、ハード側のリニューアルやシステムのバージョンアップの度にコストがかかっていたのです。この、ランニングコストを削減するために専用システムを入れ替えることにしました。利用者宅の端末一斉に切り替えることが難しかったので平成14年から段階的に移行し、平成19年度にはすべての端末の移行が完了しました。」(仲本部長)

あんしんセンターの運用フロー

現在、あんしんセンターではBIG顧客管理Neo CTIとNTT製の電話交換機を接続して、2台のクライアントで緊急通報受付をされています。

BIG顧客管理Neoでは、前システムで管理していた詳細な情報の中から必要な項目のみ残し、一画面で利用者の情報をすべて把握できるよう、シンプルな画面設計になっています。

管理項目は、利用者の個人情報、緊急連絡先、身体の状況、かかりつけの病院など。利用者が専用端末のボタンを押すと自動的にあんしんセンターに発信され、あんしんセンターの専用端末には利用者の情報がポップアップ。同時に、通報受信内容が自動的にプリントアウトされるしくみになっています。

状況に応じて顧客台帳で管理された緊急連絡先へ連絡し、後日、緊急通報の内容や対応内容がフィードバックされると、“救急要請”、“協力員で対処”、“誤報”などのカテゴリと応対内容を履歴として時系列で管理します。

応対内容は、月間、年間でそれぞれカテゴリ別・市区町村別に件数を集計し、行政に報告されています。

現在、システム上困っていることは?という問いに対し、センターで電話受付を担当されている富村様は、BIG顧客管理Neo CTI導入時にすべての条件を満たしてスタートしたので、現在のところ特に不都合な個所はない、というご回答を頂きました。

一切の無駄を省いたシルバーサービス沖縄様の緊急通報システムは、一刻を争う緊急通報を受け付けるシステムとして、パッケージソフトを実にシンプルに、うまく活用されている事例といえるでしょう。

今後の展望

管理部部長 仲本様

「20年も前から続けているこの緊急通報システムサービスですが、一般の方にはまだまだ知られていないのが現状です。多くの方にこのシステムを認知してもらい、もっといろいろな地区で活用してほしい、そう思っています。」(緊急通報システム担当営業 内藤様)

専用端末のメンテナンスなどで定期的にご利用者様宅へ伺い、現場で実際にシステムのテストをしてみて、声が聞こえづらい、といった小さなことに始めて気が付くこともあるそうです。

「現在あんしんセンターでは、固定電話機と一般的なPCで運営していますが、PCのOSや電話機などのハードも日々新しいものが生まれており、緊急通報システムも次世代のことを考える必要があると思うんです。緊急時にさらに迅速な対応ができるよう、電話機はノイズを軽減出来るヘッドセットにしたり、マウス操作はiPad等のタブレットPCのタッチパネルなどを用いて操作性の向上を図ることも重要だと考えています。」(仲本部長)

 

あんしんセンターと利用者、双方の利便性の向上するためのよりよいシステムづくりにとても意欲的です。

携帯電話の普及により、遠く離れた家族や友人と“つながること”がより身近になりつつあります。

しかし、いざというときに高齢者が携帯電話をスムーズに使いこなせるのか、使えたとしても相手が不在だったり、一方通行の連絡だったりした場合、結果はどうなるのでしょう。 また、災害時に露呈した携帯電話インフラの脆弱性といった問題もあり、有線でひかれたホットラインに、ボタンひとつで“つながる”、近隣の協力員やあんしんセンターの担当者といつでも“つながっている”という安心感を与えることが、高齢者がひとりで生活していく上でとても大切です。

さまざまな事情から、高齢者のみの世帯が増加の一途をたどる昨今。
そんな方たちを地域全体が一体となって見守るために、シルバーサービス沖縄様に求められる役割は今後ますます重要となってくることでしょう。